税理士には、税金や経理についての相談対応をする、いわゆる税務相談という仕事があります。
単発で相談する場合の税務相談にかかる費用は、安くて5,000円程度から、高いと数十万円とさまざまです。
この金額を高いと思う方もいるかもしれません。
ただ、税理士はその場の適当な思い付きで答えているわけではありません。もちろん、ちゃんとしている人であれば。
相談にかかる時間だけを金額に置きなおすだけでは測れない背景があります。
税理士は、それなりに調べて、考えている。
ある程度まともに、税理士として仕事をしている人であれば、税務相談を受ける際には相談内容を聞き、検討して、それなりに調べて考えて出した答えを相談者の方に提供しているはずです。
たとえば、以前に単発の相談で退職給与について相談をされた方がいました。
ある会社に入社後すぐに、以前の経理担当者が辞めたため、突然仕事を任されたことにより、退職者が出たときにどう税務処理をしたら良いか分からないという相談でした。
何が分からないかも分からないということで、状況をお聞きして対応することにしました。
事前にメールで出来る限り状況を確認して、詳しいことは当日聞いて答えることになりました。
とはいえ、どういうケースなのか明確でないので、当日何も答えられないということもあり得ないことではありません。
そのため、考えられるケースでいくつかのパターンを想定して、方向性と考え方をまとめておきました。
調査にかかったのは、数時間。それらを用意して、当日を迎えました。
相談にかかった時間は5分だった
いろんなパターンを考えて、難しいパターンであれば、当日60分としていた相談時間をフルに使って終わるか終わらないかという計算でした。
そして、実際に相談を迎えてみた結果。
状況を聞いて、詳しい話を聞いてみると、会社では何の処理もしなくて良いというケースでした。
相談に来られた方は、税務署に相談に行っては応じてもらえず、ネットで調べてよく分からず、それで私に来られたようでした。
私が結果を伝えるまでの時間は、相談が始まってから5分で完了しました。
私が用意した事前準備は、120分程度を想定してのシチュエーションもありました。
幸い、その方はその件で相当悩んでいたようで、これで一安心。ついでに、ほかに分からないことが少しあったので、その相談で時間を終えました。
もちろん、これはオーバーなケースです。私が用意したもので足りない場合もあります。
ただ、ある程度、まともな税理士であれば、それなりに事前に準備したり、調べて考えて対応するものです。
1時間という時間にお金を払うか、価値に払うか。相談はフリートークではない。
私の場合、スポットの税務相談は1時間あたりで料金を設定しています。
もし、先般の方が時間に置きなおすと、5分でそれなりの料金をお支払いしていただいた計算になります。
これを、5分という時間に対してお金を払ったと考えれば、高く感じるかもしれません。
あるいは、問題が解決するという価値にお金を払うかという価値観もあります。
あくまで私が勝手にやったことではありますが、事前に1時間以上の時間をかけて調べごとをしています。
税務相談はただのフリートークではなく、その場である程度の価値を提供するものだと考えています。
ただ適当に話を聞いて、適当に思いつきで答えているものはありません。
それは、それなりにちゃんとやっている税理士であれば、皆そうでしょう。
この考え方をどう捉えるかで、税理士との付き合い方は全く異なってくるものです。