会社の経理の相談を受けていると、「これは誰しもが疑問に思うポイントなんだよな」というものがあります。
社長としては、それを支払うことで経費になると思っているものが実は経費でないとか、ある入金が利益になるとは思っていなかったが利益であった、というものです。
ちょっとした勘違いではありますが、金額によっては利益と税金のスケジューリングを大きく狂わします。
社長が会社に貸しているお金を一括返済したら?
「誰しもが疑問に思うポイント」としてあるのが、社長が会社に貸しているお金についてのクエスチョンです。
創業時や会社のお金がしんどくなったときに、社長が会社にお金を入れることがあります。いわゆる、社長借入です。
この社長借入が、ケースによっては何百万、何千万となる場合があります。
そして、その後順調にいき、節税を考えます。
そこで、社長借入で経費を作ろうというクエスチョンをいただくことになります。
社長「このままだと、利益が出そうなんだよね、俺の借入金が会社に500万円あるから、それ返そうかと思うんだけど」
社長としては、会社に貸している500万円を自分に返すことで、経費になると思われている。
実は、このケースは多いです。なぜか、そう思われています。
しかしながら、借入を返しても経費にはなりません。
これを理解するのに良いヒントがあります。それは、社長が会社に貸したときに、会社はそれを利益としたか?
していないでしょう。
会社としては、銀行借入と同様、貸借対照表の負債の部に載ります。返す時は、その額が減るだけというもの。
借入時、入金を受けて利益とならないものは、返済時、払っても経費にはなりません。
生命保険の戻りは利益になる
会社で節税を考えたときに思いつくものとしてある、生命保険への加入。
保険の内容によって異なりますが、支払い金額の全部または一部が経費になります。
一方で、保険には返戻金があるものがあり、一定期間支払いを続けて、返戻率が良いタイミングで解約してお金を戻すというものがあります。
その、保険の戻りが利益とならないと思っているケースがあります。
社長「今後お金が厳しくなりそうだから、率も良いし保険取り崩そうかなと思う」
たとえば、支払時に全額が損金(経費になる)保険であれば、戻って来たお金は全額利益となるのが基本です。(支払い時に半分が経費となる保険は、全額利益とはなりません。今回は割愛します。)
社長「えー、じゃあ戻りに税金かかっちゃうじゃん・・・」
なぜか、保険の戻りは非課税だと思っているケースも少なくありません。そのあたりは、保険販売の説明時にすべきことだと思うんですけどね・・・。おそらくサラッと流すのでしょう。
当期、すでに利益が出ているタイミングで保険を取り崩せば、さらに利益は上積みされます。
保険の戻りが利益であることを理解するには、支払ったときに保険料が経費になったということを思い出してもらうことにしています。
一部例外もあるかもしれませんが、払ったときに経費であれば、(それが保険のように)戻って来た時には利益になるということ。
払って経費は受けて利益。受けて利益でなければ払って経費にはならない。
借入金と返済金。支払保険料と保険の戻り。
それぞれ、原因と結果があります。両者は、対応するものです。
一部例外はありますが、経理を考えるうえで、
・払って経費となるものが返ってくれば、それは利益(保険のパターン)
・受けて利益とならないものを、あとで返しても経費とはならない(借入のパターン)
が基本です。
支払って経費になるのに戻って利益にならないとか、受けたときに利益にならないのに返したときに経費なる、そんな都合のよいものはないと思っていた方が良いでしょう。
この基本は、ぜひ押さえておいてもらいたいポイントです。
というのも、大きい金額を勘違いしていれば、利益や税金の計画を大きく狂わしかねません。不意に利益が上積みされれば、想定外の事態ですしね。
これはどうか?あれはどうか?
思い込みでいけると思えるようなことも、念のため確認してやるようにしましょう。
編集後記
昨日は事務作業とホームページの修正を少し。
先日開始した、クラウド会計導入サービスの文面アップなどをいくつか。
確定申告もぼちぼち終わりですね。税務署や申告コーナーはごった返しているのでしょうけれど・・・。