決算書を読み解く。
決算書を読むというと、数字を難しく分析して、カッコよく読むというイメージが強いです。
しかしながら、このイメージに対して苦手意識を持つ方は多く、これが原因で、会社の数字に苦手意識を持っている社長さんは少なくありません。
私としては、決算書は難しくカッコよく読めなくても良いと思っています。
分かれば良いのは、儲かっているかどうか、お金はあるのかという二点だけだからです。
儲かっているか?お金はあるのか?
決算書の読むというと、売上高営業利益率とか、流動比率、ROEなど、難しい言葉が浮かびます。
まるで、数学の公式や元素記号にも思えるこれらのワード。簡単にトライできるものもあれば、相当ややこしいものもあります。
ただ、決算書を読むといっても、これらの数字を駆使して分析をする必要があるとは思っていません。特に、起業したばかりの社長さんであればなおさらです。
難しく考えることで、決算書に苦手意識を持ち、見るのも嫌になってしまえば、本末転倒です。
では、どうすれば良いのか?
決算書である、損益計算書、貸借対照表、それぞれでまず、儲かっているか、お金があるのかを把握しましょう。
損益計算書。儲かっているのかどうか?
損益計算書では、売上から始まり、以下のように流れていきます。
・売上高
・売上総利益
・営業利益
・経常利益
・税引き前当期純利益
・当期純利益(最終利益)
まず、これだけ利益の種類があるだけで、気だるくなるかもしれませんが、これらの利益がどういう利益か、ざっくり分かっているだけで、自分の会社がどういう意味合いで儲かっているかが理解できます。
・売上高
まずは売上高。売上高は、会社のすべての売上のことを言います。
・売上総利益
売上から、売上原価を引いた残りが、売上総利益です。売上原価とは、その名の通り原価。
商品販売業であれば、売った商品を買ってきたときの金額です。飲食店であれば、かかった食材の代金。売りを作るために直接かかった原価を、売上から差し引いたのが売上総利益と理解しておきましょう。ちなみに、売上総利益は粗利(アラリ)と呼ばれることもあります。
・営業利益
営業利益とは、上記の売上総利益から販管費(販売費および一般管理費)を引いた金額をいいます。
営業利益を見ることで、会社のビジネスそのものから得られた利益を知ることができます。
販管費とは、売上を立てるためにかかった、間接的な経費。
社長の役員報酬から従業員給与、電気ガス水道、家賃、事務消耗品費、電話やネットの料金まで、仕事を回すためにかかった経費を合計したものが、販管費となります。
これらの販管費を、売上総利益から差し引いて計算したのが、営業利益。
それだけに、利益が意味するところと、金額はしっかり把握しておきたいところです。
・経常利益
経常利益は、営業利益に
(営業外での儲け)を足し、(営業外でかかった費用)を差し引いた金額をいいます。
経常利益の経常とは、ルーチン、毎期継続して生じるという意味合いです。
営業外でのプラスとマイナスというと、ややこしく聞こえるかもしれませんが、シンプルに考えましょう。
たとえば、本業は建設業である会社が、自社で持つ駐車場を月ぎめで貸していたとしましょう。この場合、あくまで本業は建設であり、月ぎめでの賃貸は副業的な位置づけです。
こうした、副業的なもうけが、営業外での儲けとなります。
また、営業外の儲けには、預金利息や株の配当金なども含まれます。営業以外でもうかったもののうち、ルーチン的に生じるものが、営業外の儲けとなります。
一方で、営業外でかかった費用。たとえば、借入があるのであれば、その支払利子が該当します。営業そのものでかかったのではない、費用が含まれます。
これらの、営業外の儲けと費用を、営業利益から差し引き、経常利益が出ます。
経常利益まで含めて知ることで、事業全体のメインの利益が分かります。
ここまで知っておけば、とりあえず問題はないでしょう。
・税引き前当期純利益
税引き前当期純利益は、経常利益から特別利益と特別損失を足し引きした利益です。
特別利益と特別損失とは、普段はほとんど発生しない、儲けと費用。
たとえば、会社で加入した保険がおりた場合の保険金額の入金、会社の設備を売ってプラスになった場合の儲けなどが含まれます。いずれも、ほとんど発生しない儲けです。これらが、特別利益となります。
また、会社の設備を売って損をしたとき場合の金額は、特別損失となります。
これら、特別利益と特別損失を、経常利益から足し引きしたものが、税引き前当期純利益です。
会社によっては特別項目はなく、経常利益期と税引き前当期純利益が同額であることもあります。意味合いだけでも知っておきましょう。
・当期純利益
上記の、税引き前当期純利益から、法人税などの税金を引いた残りが、当期純利益。
当期の業績に対する、最終的な利益です。
この当期純利益には、当期の業績のプラスとマイナス、すべてが反映されています。
最終的な利益と理解しておきましょう。
これらの利益、いくつも出てきましたが、そう難しく考える必要はありません。
営業でどれくらい儲かっているのか、全社的に経常利益は儲けになっているか、その程度でも良いでしょう。そして、これらを前期比で比べてみる。まずはこのあたりからやっていきましょう。
大事なのは、儲かっているかどうかです。
貸借対照表。お金はあるのか?
そして、会社の財産と債務の内容を示す貸借対照表。
決算書の読み方や、分析の仕方に関する本や記事を読むと、貸借対照表の数字を多く使って読み解くものが多くあります。
これらの分析や数値は、正直いって結構難しいです。そして、ややこしい。
そこから着手しようと思うと、見るのも嫌になってしまいます。
貸借対照表は、会社の財産と債務が載っているものです。
最初は、会社にどれくらい現金預金があるのか、売掛金があるのか、機械や設備はどれくらいの金額あるのか見てみる。そして、買掛金や借入も同様に見ていきましょう。
それぞれの額がいくらあるのか、それすら分かっていないという方もいるので、まずはどれくらいあるかということを知っておくだけでも違ってきます。
いくたあるのかを見るようになると、そのうち簡単な分析がしたくなってきます。その段階になってから、自分で気になる数字を確認してみるのがベターです。
損益計算書にあるいくつかの利益、貸借対照表ではそれぞれの数字を見ること、それぞれについて書いてみました。
いずれについても、細かい話はありましたが、要は儲かっているのか、お金はあるのか(債務はどうか)に尽きます。
難しい分析ができて、その数字の意味するところが分かっていなければ意味はありません。
まずは、目で見て分かることから見ていきましょう。
編集後記
けさは、5時少し過ぎに起床。
昨日は年に一度の健康診断。一通り診てもらってきました。
結果は後日送付。
例年ですが、何もないことを期待しつつ待ちます。