スポンサーリンク

「消費税一千万円の壁」「消費税五千万円の壁」2つの壁と消費税インパクト。


事業を始め、軌道に乗ってきたと言われるひとつの指標となる、売上一千万円越え。

事業の指標としてとらえられる一方、実は消費税の課税事業者になるかどうかの指標でもあります。

今日は、消費税の課税要件と、課税となるか否かの「一千万円の壁」。有利ともなり得る簡易課税計算ができるかどうかの「五千万円の壁」。それぞれの消費税の税務インパクトをみていきたいと思います。

img_1574

「消費税一千万円の壁」

個人・法人問わず、売上が一千万円を超えると消費税を払わなければいけなくなる。

これは事業をされている方であればほとんどの方が知っている事かもしれません。この、一千万円を超えることで消費税の課税事業者となることについては、「一千万円の壁」とも言われていて、小規模のビジネスをされている方が意識されていることの一つと言えます。

一千万円の壁は、具体的には、当期の課税売上が一千万円を超えると、当期から見て翌々期が、消費税の課税事業者となるもので、一度課税事業者になった後もずっと課税事業者というわけではなく、毎年課税売上を見て、翌々期が消費税の課税事業者かどうかの判定を行うわけです。

課税売上は、通常の商売であれば売上がそのまま課税売上となります。売上・備品や車の売却・副収入的な売上など、対価を得て譲渡する取引はサービスも含めてそのほとんどが課税売上とされます。(例外としては、居住用アパートの賃貸収入などです)

第1期 課税売上 950万

第2期 課税売上 1010万

第3期 課税売上 1050万

第4期 課税売上 900万

第1期から3期まで見ていくと・・・

第1期は課税売上950万で、翌々期の第3期は免税事業となります。

第2期は課税売上1010万円で、翌々期の第4期は課税事業者となります。

そして、第3期は課税売上1050万で、翌々期の第5期は課税事業者。

しかし、第4期は課税売上900万なので、翌々期の第6期が免税事業者となります。

ちなみに、事業を始めたばかりの第1期とその次の第2期は、それぞれ2年前の期がないので、自動的に免税事業者となります。

その期が課税事業者かどうかは、その期の課税売上がいくらかで判断するのではなく、2年前である前々期が一千万を超えているかどうかで判断します。

第1期 前々年ないので免税

第2期 前々年ないので免税

第3期 前々年課税売上950万で一千万未満。=免税

第4期 前々年課税売上1010万で一千万超。=課税

第5期 前々年課税売上1050万で一千万超。=課税

第6期 前々年課税売上900万で一千万未満。=免税

となります。(売上が創業期より半年で1千万円を超えるか、給与が1千万を超えるかするなど、例外的にこの課税・免税のパターンが崩れることもありますが、小規模ビジネスとして始めることを前提とすれば、このような考え方で判断できます)

一千万円の壁と同様に、壁とされるものとしてもう一つ、「五千万円の壁」があります。

受けた消費税から、払った消費税を控除した残額を納付消費税として税務署に納めるの原則的な消費税の計算方法ですが、受けた消費税額を基準として業種ごとに異なるパーセンテージにより納付消費税を計算する計算方法があり、それが簡易課税制度と言われ、前々年課税売上が五千万円以下だとその方法が使えるのです。

これが、よく「五千万円の壁」と言われます。受けた消費税を基準として消費税額が計算されるので、実際に受けた消費税から払った消費税を控除した金額より少ない納付で済むパターンも多く、小規模事業者としては恩恵を受けるため、五千万を超えるか超えないかという事業者は、「五千万円の壁」を意識することになるのです。

一千万円の壁の消費税インパクト。

ここで、当期(第3期)の売上をベースに、「一千万円の壁」の消費税インパクトをみてみましょう。(A)と(B)のパターンでみていきます。

(A)               (B)

第1期 課税売上 1200万円  第1期 課税売上 950万

第2期 課税売上 1100万円  第2期 課税売上 1100万

第3期 課税売上 1500万円  第3期 課税売上 1500万

まず、第1期と第2期は、(A)・(B)ともに前々年がないので免税事業者で消費税は掛かってきません。

しかし、第3期を見ると、(A)の前々年は課税売上1200万で第3期は課税事業者。

(B)は前々年が課税売上950万円で、第3期は免税事業者。免税なら、消費税は掛かりません。第3期は、消費税はクリアできます。

ただ、(A)の場合、第3期が課税事業者なので、消費税の納付が生じます。

仮に、こういう収支だったとしましょう。(家具卸売り・すべて税込み処理)

・売上   1,500万円

・仕入   700万円(棚卸なし、売り切り)

役員報酬 500万円

家賃   200万円

この例について、原則計算と、簡易課税計算でみていきたいと思います。

(消費税計算は、厳密には国税と地方税を区分して計算しますが、ここでは簡略的に8%で受けた消費税と払った消費税を計算して、ザックリ見ていきますね)

原則計算

受けた消費税(課税売上) 1,500万×8/108=1,111,000(便宜的に下3ケタ端数切捨て)

払った消費税(課税仕入) 仕入 700万+ 家賃 200万 =900万

(役員報酬や給料は、消費税の計算課税仕入とならない。給与に消費税は含まれないです。)

900万×8/108=666,000(便宜的に下3ケタ端数切捨て)

差し引き納付消費税   1,111,000 - 666,000 =445,000

原則計算だと、課税事業者となる場合、445,000円の消費税納付が生じてくるわけです。

簡易課税計算

簡易課税計算の場合、受けた消費税額を基準に業種別に割合計算で納付額を計算します。いわゆる、みなし計算と言われます。実際に払った消費税は見ません。考慮しないのです。

受けた消費税(課税売上)  1,500万×8/108=1,111,000(便宜的に下3ケタ端数切捨て)

払った消費税(みなし計算) 1,111,000×90%=999,900

差し引き納付消費税    1,111,000 - 999,900 =111,100

原則計算では、払った消費税は、実際の支払い経費を元に計算していましたが、この簡易課税計算では、売上の消費税に%(今回は90%)を乗じて計算した金額を払った消費税とみなして、受けた消費税から、その払った消費税を控除して納付消費税を計算することになります。

その割合は、大きく、

卸売りは90%、小売りは80%、製造業などは70%、サービス業は50%・・・と業種により分かれています。その他、業種に応じて計算はそれぞれ異なるわけです。

ここまで、原則計算で445,000円の納付消費税。簡易課税計算で111,100円の納付消費税を計算してみました。原則と簡易の差額も気になるところですが、もともと当期が免税事業者なら、納付消費税は0円です。前々期を基準に課税となるか、免税となるかが分かれてくるわけではありますが、消費税の課税事業者となると、やはりある程度の消費税インパクト(納税)が生じてきます。

売上の伸びが利益の伸びにも直結する事業であったり、取引の都合上で売上の額を意図的に制限できない場合は別として、当面一千万円を少し上回る程度の売上が予想される事業であれば、やはり課税売上が一千万円を少し下回るタックスプランをスケジュールしても良いのかもしれません。

原則か、簡易かは、適用したい期間が開始する日の前日までに必要書類を税務署に提出する必要があります。その詳細は、細かい要件もあるので割愛します。(業種や事業形態によっては、簡易計算より原則計算が有利な場合もあるので、判断は難しくなります)

計算額が低い、簡易計算でも10万円超のキャッシュが生じてきます。一千万円の壁でも、消費税インパクトは意識しておくべきポイントです。

簡易課税計算「五千万円の壁」

「一千万円の壁」の例で、原則計算、簡易課税計算をやってみましたが、どちらかをとるかで、この例では333,900円の差が生じています。

これは、前々年の課税売上が五千万円以下である事業者が適用できるもので、繰り返しになりますが事業や業種によっては消費税の納付額が原則的な計算と比べて低くなるため、言ってしまえば得をする税制となります。

そのため、基本的に適用期間の前々年に課税売上が五千万円を下回る事業者であり、かつ、事業の形態的に、原則計算より簡易計算の方が得であるケースの場合、簡易課税を適用していることが多いです。上記の例でいえば、単純にすべての売上と経費が3倍になったとした場合、納税額も3倍の差が生じてきます。

このような、前々年課税売上が五千万以下である、「五千万円の壁」が担保されている事業者である場合、五千万を超えるのか超えないのかは、消費税インパクトに大きく影響することになります。

ただ、こちらの場合も事業規模の拡大が見込まれていたり、売上の拡大が利益にも影響する事業であったり、取引の都合で売上は制限できないという場合は、「五千万円の壁」を超えることも仕方ないでしょうね。

「一千万円の壁」も、「五千万円の壁」も、いずれにしても売上を中心とした課税売上で判断される基準ですので、消費税のインパクトだけを考えて事業を調整するわけにもいきません。

しかし、現実問題として、納税額や経理処理面まで考えて、税務インパクトは考えておくべきポイントです。

細かい部分まで考慮するなら、専門家と検討すべきポイントですね。

編集後記

いま同時並行で読んでいる本が5・6冊あり、その多くが一気に読み終わりそうです。

あと少しで読み終わるという本をさて置き、新しい本を読み始めるのはクセですね。

年末年始は仕事がオフでも案外本は読めないものなので、休みに読みタメという無謀なことはやめておくつもりです・・・。

本の読み方・選び方の記事も、近々書く予定です・・・!


クラウド会計ソフト特化型の税理士「野田翔一税理士事務所」

さいたま市大宮区東町にて、クラウド会計ソフトを専門としている税理士です。クラウド会計ソフトを使った経理の効率化、請求書や給与ソフトとの連携で経理を楽にする提案を得意としています。お金のディフェンスについても強み。税務顧問・スポット相談いずれも対応しています。 野田翔一税理士事務所事務所ホームページはこちら 代表プロフィール税務顧問 スポット税務相談 クラウド会計導入コンサルティング
スポンサーリンク
スポサーリンク
スポサーリンク

フォローする

スポンサーリンク
スポサーリンク