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医療費控除は医療費が戻るわけではない。税金が戻ると思って申告する前に、源泉徴収税額をチェック。

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確定申告で納める所得税を小さく出来たり、所得税を還付してもらうことが出来る、医療費控除。

確定申告では、特に使われている制度です。

今シーズンの確定申告期は何度か無料相談の応援で相談員をしましたが、少なからずおられたのが、

「医療費控除で医療費が戻ってくる」

と思っている方。

実は、医療費控除は、医療費を戻すための制度ではないのです。

もらっている給与や年金などで、源泉徴収税額がなければ、戻ってくる金額はありません。

医療費控除は、所得税が戻る制度である

確定申告の時期は、いろいろと相談を受けます。

特に、税務署の無料相談会場へ応援で行った際に、特に多いのが医療費控除の相談だったりします。

医療費控除は、配偶者控除や扶養控除、社会保険料控除と同じく、所得控除の項目です。

これは所得税の申告書です。

所得税の計算は、

所得金額 - 所得から差し引かれる金額 = 課税される所得金額

所得金額とは、給料や年金の額をベースに計算された額が入ります。

所得から差し引かれる金額が、所得控除の項目です。医療費控除は、ここに入ります。

所得金額から、所得から差し引かれる金額を引くと、課税される所得金額が計算されます。用紙の右上に、課税される所得金額があります。

課税される所得金額に、所得税の税率をかけて、所得税の額は計算されます。

医療費控除をはじめとした所得控除の額が大きければ、課税される所得金額が小さくなるので、そのぶん所得税も小さくなるという仕組みです。

そのため、医療費控除は所得税を戻す(場合によっては納める所得税を減らす)制度というわけです。

高額療養費の給付などとは異なり、医療費そのものが戻るわけではないことに、注意しましょう。

医療費控除で所得税が戻るケース戻らないケース

医療費控除で所得税を戻してもらおうと思う前に、ひとつ確認しておきましょう。

それは、もらった給料や年金から、源泉徴収されている所得税があるかどうか。

源泉徴収税額がいくらかでもあることが、所得税の還付を受けられるかどうかを決めます。源泉徴収税額が0円の場合、何も戻りませんし、場合によっては追加で納付が必要な場合もあります。

ただ、「源泉徴収税額が0円ってどういうこと?」と思われる方もいるかと思います。

・会社に勤めていて給料をもらっている場合

・退職して年金のみをもらっている場合

このケースについて、医療費控除で所得税が戻るかどうかの、ケース例をみていきましょう。

所得税が戻らないケース

確定申告で医療費控除をやっても、所得税が戻らないケースをみていきましょう。

・会社に勤めていて給料をもらっている場合

会社に勤めていて、給料をもらっている方の場合、源泉徴収税額がゼロときは、戻る所得税はありません。

具体的には、以下のような源泉徴収票が該当します。

すでに会社で年末調整をした源泉徴収票です。支払総額は980,000円となっています。

この源泉徴収票の場合、一番右の源泉徴収税額は0円となっています。この場合、源泉徴収税額がないので、確定申告で所得税が戻りません。

・退職して年金のみをもらっている場合

(1)の欄に支払金額が入っている公的年金の源泉徴収票をもらっている場合、(2)の源泉徴収税額が0円なので、このケースでも確定申告で戻る所得税はありません。

所得税が戻るケース

続いて、医療費控除をやって所得税が戻るケースを、ある限定された場合に限って、みていきましょう。

・会社に勤めていて給料をもらっていて(所得はこれのみの場合)で、会社で年末調整済みの場合

会社に勤めていて給料をもらっていて、その給料の税金は会社で年末調整が済んでいて、それでも源泉徴収税額がある場合、所得税が戻ります。

この源泉徴収票を会社からもらっている場合、すでに年末調整が済んだうえで源泉徴収税額が32,000円あるので、医療費控除をやって所得税が戻ります。

もちろん、全部は戻りません。医療費の支払額に応じて計算された医療費控除の額によって、戻る金額は変わってきます。

いくらかは戻るという認識で大丈夫でしょう。(あくまで、会社での年末調整の計算が合っている場合に限ります。基本的には合っているはずですが)

・退職後の年金のみをもらっている場合(年金機構に扶養親族等申告書を提出している場合)

公的年金のみが所得である場合、年金機構に扶養親族等申告書を提出しているとき、特に以下の源泉徴収票を年金機構からもらっているのであれば、確定申告で所得税が戻ります。

このケースの場合、すでに税金の処理は済んでいる状態になります。

所得税法第203条の3第1号適用分という欄の(1)に支払金額が入っていて、源泉徴収税額が3,063円となっています。

この源泉徴収票を年金機構からもらっていて、扶養親族等申告書の記載内容が合っているのであれば、確定申告で医療費控除をしたとき、所得税が戻ります。この場合も全部ではなく、医療費の額に応じた医療費控除の金額によります。

医療費控除。戻る戻らない、まとめ

確定申告で医療費控除をやって、所得税が戻らない場合、所得税が戻る場合をそれぞれ見てきました。

いずれも、給与は年末調整済みで、年金は扶養親族等申告書を提出している場合で、年末の時点ですでに税金の処理がひとまず済んでいることが前提となっています。

いずれも、それ以外に所得がない場合に限っています。

上記の要件に該当しても、なんらかの事情で当てはまらない場合もあるので、よく確認したうえで、戻るかどうかを検討していきましょう。

相談を受けていると、源泉徴収税額が0円で医療費控除をやろうとしている方が少なからずいたようでした。

確定申告は、その年の申告を一度もしたことがなければ、申告期限から5年は遅れてもできることになっています。医療費控除も同じく。

やって意味があるかどうかの参考になればと思います。

編集後記(きのうの野田)

きのうは朝から次女(0歳)を病院の連れていくミッション。

診察を終え、無事に済みました。

午後は畑の講習会へ。春夏野菜の講習を受講。

その後は茎ブロッコリーを全部収穫して撤去。そのあとに土を作ってジャガイモに植え付け。

がっつり3時間やって、疲れてコーラ飲んで休んで帰宅。振り切りました。

そんな一日でした。


クラウド会計ソフト対応の税理士 野田翔一です

さいたま市大宮にてクラウド会計ソフトを専門をはじめとしてサービス提供をしている税理士です。クラウド会計ソフトを使った経理の効率化、請求書や給与ソフトとの連携で経理を楽にする提案・キャッシュレス対応へのアドバイスなどを得意としています。税務顧問・スポット相談いずれも対応しています。 税理士野田翔一税務コンテンツHPはこちら 代表プロフィール税務顧問 スポット税務相談 クラウド会計導入コンサルティング
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