「経費はコレで決まり」
「経費はこれだ」
このようなキャッチフレーズで経費について書かれている本や経理教材などは多いです。
こういったものを見ると、ついつい手を伸ばしたくなってしまうもの。しかし、ものによっては信頼できる内容ではない場合もあります。
経費の判断は、「これは仕事か?」という自分の判断軸で決めるものです。
「これが経費だ」ではなく、仕事だから経費
「何が経費なんだろう?」
「どれを経費にしたら良いか分からない」
こういった相談は多く受けます。
早い段階で、相談に乗ってもらえれば、誤った経費判断に向かわずに済みます。
私が経費について聞かれたときには、こう答えることにしています。
「仕事に関係する支払いが経費」です、と。
仕事の準備から始まり、売りを立てるのに直接・間接かかったもの、そして決済まで、仕事に関係している支払いであれば、それは経費にしてオーケーというものです。
打ち合わせの際に「これは経費どうですか?」と聞かれれば、「仕事ですか?」と尋ね、それに対して「仕事ですね」と返答いただけるのであれば、それは経費。
ついでに言えば、なぜ経費かと聞かれて即答できるのであれば、なおさら良いでしょう。
こうした、自分の仕事軸で経費を判断する一方、誤った経費の考え方をすると、間違った経費解釈に向かってしまうことがあります。
「これが経費」という、誤った判断でありがちなものを紹介してみましょう。
「これが経費である」というものはない
「これが経費」という、うたい文句で、これなら何でも経費と思われてしまっているものがあります。
代表格としては、このあたりでしょうか。
・ゴルフのプレー代はすべて経費
・飲み代はすべて経費
・車は何でも経費
まず、ゴルフのプレー代。ゴルフなら何でも経費になると、見聞きしたという話を聞き、「仕事じゃないならダメですよ~」という話になることはあります。
なぜか、ゴルフはスルーで経費になると思われているケースがありますが、それも仕事でなければ経費とすることは出来ません。ましてや、自分ひとり・友達と行ったものはなおさらです。
また、飲み代もすべて経費であると思われているところがあります。しかしながら、こちらも仕事でなければ経費とするのはまずいものです。
そして、車。車についても、仕事で必要であれば経費とすることに問題はありません。
しかしながら、車なら何でも経費と思われているは多いので、仕事か?仕事の枠を超えて個人的なものでないか?このあたりは考える必要がありそうです。
領収書が出れば経費、ではない
また、領収書が出ていれば経費とすることが出来ると思われていることも多いです。
領収書・レシートがあれば、それは経費。という判断なのでしょうが、その判断ではまずいでしょう。
領収書・レシートは、仕事か仕事でないかに関わらず、お店は発行してくれます。領収書をもって、「これが経費とすることが出来る証」というわけではありません。
領収書が出れば経費という判断で、よく見られるものがあります。
・会社宛の領収書であれば大丈夫と思われているケース
・家族との食事代を経費としようとするケース
・プライベートな消耗品・家電を経費としようとするケース
会社宛の領収書であれば、それで全部経費オーケーと思われている部分はあるようです。これについては、会社宛としていても、それが仕事に全く関係がなければ経費とすることには問題があります。
会社宛の領収書で経費としようとするもののなかで多いのが、家族との食事代、そしてプライベートで使う消耗品類の購入です。
会社宛としても、仕事でないのであれば経費とすることはまずいものです。
領収書が出れば経費とするのではなく、仕事かどうかの判断が必要になってきます。
仕事。入り口を間違わなければ、経費の判断は誤らない
「これなら経費」
「領収書があれば経費」
聞くことのある、誤った経費判断について紹介してみました。
いずれも、まず入り口として、「仕事に関係するものが経費」という判断軸がないからこそ、そうした判断を持ってしまっている部分があるようです。
仕事に関係するものが経費とは知らず、「これが経費」という解釈で経費判断をすると、大きな間違いをしてしまいますし、後に税務調査で問題となることが想定できます。
調査官「この支払い、経費なんでしょうか・・・?」
社長「いや、よく経費と聞くので問題ないと思うのですが・・・」
確認された際に、こう答えてしまうことにもなり兼ねません。経費でいけると聞くから経費としたという説明では、おそらく通らないでしょう。それが家族とのものであれば、なおさらです。
個人事業・フリーランスであれば、2月は確定申告。ここでも経費の判断が必要です。
万が一、経費の判断を誤っていたら、まだ軌道修正できます。自分で決めた正しい内容で、進めていきましょう。
編集後記
経費についての本や記事は、ウケが良いからなのか沢山出ているので、選ぶときは気をつけて選びましょう。
結構際どい線ばかりを攻めるのもありますし。
そういった本も含めて、一般向けの税金本は結構読みますが、たまにアウトなものも載っているので、読んで使うときは気をつけて、ですね。