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よく聞く決算日直前での車の購入。経費のとらえ方・減価償却について考える

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経費の考え方はとても奥が深いです。

以前、経営者が注意しなければならない、収益・費用≠収入・支出、という概念

という記事を上げました。何をもって利益を圧縮する経費となりうるか?

やはり、支出というお金が出ていく過程で経費としてとらわれがちです。

今日は、経費のなかでも、よく経営者の方から話がある点、みていきたいと思います。

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利益が出そうな決算直前、社長から聞くキーワード

決算末日が近づいて、このままだと利益が思いの他出そうだなと想定されるとき、やはり思い至るのは、税金のこと。少しでも減らしたい・・・。

会社の利益に税率をかけて計算する会社の税金。利益額が税額を左右します。

利益は、会社の収益から費用を差し引いた差額。となると、費用である経費を増やして利益を少しでも圧縮できないかと考えるものです。

よく経営者の方と、決算直前にお話する中で相談を受けるのが、利益が出そうなときの決算直前での車の購入という話。一気に数百万円の支払いが生じます。支払いは生じているが、そのまますべて経費となるのか?そのあたり、今日は詰めたいと思います。

車の購入・減価償却という概念

決算日直前での、車の購入という提案。

もちろん提案はどんどん出してもらってよいと思っています。その都度、考えて、社長へ伝え、話し合うべきです。ここでも、いつも伝えていることを軸に話を進めたいと思います。

決算日ギリギリに納車になって、会社に届いた新車。単刀直入にいえば、車の購入にかかる数百万円、すべてが一気に経費になるわけではないです。

車を含めて、会社で使うものは、固定資産といわれ、経費化するにあたっては減価償却という計算過程を踏まなければいけません。

なぜ、減価償却が必要か?まずはそこが気になるかと思います。

数百万で購入し、数年は使い続ける車。これが営業車だとすれば、この車での活動が、利益を生み出すもととなっているといっても過言ではないはずです。10年使って廃車となるまで、利益獲得に努めているわけですよね。

会社の経理の基本は、売上と経費を対応させる、ということ。経費となる費用は、すべて売上と対応していなければならないわけです。

この売上と経費の対応性を確認するために、先に減価償却の計算についてみていきたいと思います。

(事業年度は4月1日から3月31日の会社とする)

車の購入金額は100万円ちょうど。この車は耐用年数5年とします。減価償却の方法は、定率法とします。(定率法は、車によく使われる償却方法で、使い始めの最初の年に多めに償却額を計上して、だんだん年の経過によって、償却額が小さくなっていく計算方法)

この場合、仮に4月1日の期首に購入した場合、最初の一年目はまるまる一年使ったことになります。3年目までみてみます。

(1年目) 1,000,000× 償却率(0.500) = 500,000円

(2年目) 1,000,000-500,000 × 0.500 = 250,000円

(3年目) 1,000,000-750,000  × 0.500 = 125,000円

この方法だと、だんだん償却額(経費となる部分)が小さくなっていってますね。

車で考えれば、最初は新車で調子よくても、だんだん燃費が悪くなったり、加速がイマイチになったり、修理が必要だったりと、生産性が落ちてきます。

これが営業車であるなら、だんだん生産性が落ちてくる車は、はじめは売上の獲得に大きく貢献していたのが、次第に貢献度は下がってくるでしょう。

売上の獲得に係る貢献度を表すものとしての減価償却。これが売上と対応させる、という事を表すわけです。

ここまで、売上と経費(ここでは償却費)を対応させなければならない、ということを説明してきました。だから、減価償却が必要、になるというわけなんですね。

そして、減価償却の概略をみてきたところで、元の話に戻ります。

決算ギリギリに納車になった車。さきほどの計算でいくと、100万円の車なら一年目の償却額は500,000円でした。では、決算ギリギリ3月31日に納車なら、どうなるか。

減価償却は、月単位で計算していくという原則があります。この場合、500,000円を12で割った1か月分のみが、減価償却額として経費に入ります。(41,666円のみです・・・)

もしかしたら、もくろみとしては100万円すべてが経費となり、仮に想定利益が100万だったとして、利益0で税金0、と考えることだってあるかもしれません。それが利益が95万となるわけですから、大幅な想定外を生じさせることになります。

まとめ。償却・そして月数で配分。

車の購入、そして車以外でも設備投資があるかと思います。

そういった支出を経費と結び付けたいなら、減価償却という計算を踏んで経費となる償却額を計算するということ。期中で買ったなら、年の償却額を月数で配分した金額のみが経費となる、ということをアタマに入れておく必要があります。

今回は、法人を想定して減価償却の過程をみてきました。個人の場合はやや原則が異なるため、今回のパターンはあてはめられないこともあります。また、減価償却の対象となる資産は、建物や機械、車、備品など多岐にわたります。その資産ひとつひとつ、そのつど償却方法と耐用年数、償却率を検討する必要がありますので、ケースバイケースで、単純にはいかない部分があります。

原則的なことをアタマに入れたうえで、償却の細かいあたりは専門家に相談するなりし、上がってきた答えをもとに数字に活かせれば、想定外ということも少なくなるでしょう。

また、償却には、通常の償却額とは別の計算手法があって、多額に追加で償却できる特別償却という方法もあるにはあります。他にもいろいろあり、そのあたりは今回は割愛しますが。

今日の話では、決算ギリギリを想定して話を進めましたが、期中、いつでもこの知識があれば会社の数字を俯瞰するのに役立ちます。償却額はときには金額が大きくなる場合もあって、会社の損益に大きく影響する場合もありますし。

売上と仕入という直接的な対応、そして償却をはじめとする間接的に対応する経費、いずれもある程度は理解しておくことが重要ということですね。

編集後記

昨日は、いつも行っているジムに、ピークタイムの6時ころに行ってみました。

いつも行く朝のほとんど誰もいない時間帯とは異なり活気づいていましたね。

たまにはいつもとは違う時間に行くのもマンネリ対策になるかも・・・。


クラウド会計ソフト対応の税理士 野田翔一です

さいたま市大宮にてクラウド会計ソフトを専門をはじめとしてサービス提供をしている税理士です。クラウド会計ソフトを使った経理の効率化、請求書や給与ソフトとの連携で経理を楽にする提案・キャッシュレス対応へのアドバイスなどを得意としています。税務顧問・スポット相談いずれも対応しています。 税理士野田翔一税務コンテンツHPはこちら 代表プロフィール税務顧問 スポット税務相談 クラウド会計導入コンサルティング
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