いま推し進められている、キャッシュレス決済の動き。
そのメインに、クレジット決済があります。
これだけキャッシュレスの話題が大きいと、小規模事業でもクレジット決済導入を検討することになるでしょう。
しかしながら、基本的に決済手数料がかかるのがクレジット決済。
決済手数料を払って利幅がペイ出来ない商売をしているなら、あえてやらないという選択肢も必要です。
クレジット決済には、決済手数料がかかる
消費税10%への増税時への対応として、キャッシュレス決済をすることでポイント付与といった流れがあることもあり、キャッシュレス決済への関心は高まっています。
PayPayをはじめとしたQR決済も普及されつつありますが、やはりシェアが大きいのが、クレジットカード決済だと言えます。
購入者、サービス利用者はクレジットカードを提示することで、品物を購入・サービス利用を出来ますが、その決済をすることで、お店側はカード会社に決済手数料を支払うことになります。
たとえば、私は税理士事務所のスポット税務相談をはじめとしたサービスで、カード決済を導入しています。
プラットフォームはSquareというサービスを利用しています。
私の場合、相談のお申込みをいただき、事前にこちらからカード請求書をメールでお送りすることで、相手の方に決済していただいています。
そのケースの場合、
・VISA、mastercardをはじめとしたほとんど 3.25%
・JCB 3.95%
というカード手数料がかかります。
たとえば、10,800円を請求をした場合、その3.25%である351円の決済手数料を差し引いた10,449円がタイミングごとに入金されます。
Squareのサービス以外でも、概ね3%から4%程度がカード手数料であることが多いです。
中小規模の事業者の方で、「キャッシュレスの流れに乗るか」と、カード決済を導入することを検討することもあるかもしれませんが、カード手数料を支払って、利益がペイ出来ることが見込めない場合、導入をしないという選択肢をすることもありです。
すでに利幅が薄いなら、4%は利益率に影響する
商品を引き渡し、サービスを提供する側である事業者が負担することになる、クレジットカード決済手数料。
これがかかることで、商売が回らなく可能性がある場合には、カード決済を導入しないことも必要です。
たとえば、ある商品を小売りしている会社である場合、
売上 - 売上原価 - 販売費および一般管理費
で計算される営業利益の率(営業利益 / 売上)が、5%であるような場合には、売上の全部がカード決済になり、全売上金額が4%を引かれて入金されることになれば、利益への影響は大きくなります。
売上に対して4%必ず差し引かれるので、営業利益率は1%以下となる計算です。
ケースによっては、ほぼ利益はゼロ。あるいは赤字になることも想定されます。
事業の構造によっては、利幅は少ないけれど、売上が伸びることで利益がとれる商売があります。
こういった収支で事業をしているケースでは、カード決済手数料を払うと収支がペイ出来ません。
売上の確保、新規顧客の獲得には貢献するかもしれないカード決済の導入ですが、考える必要があるわけです。
現状は、戦略的にキャッシュレスを導入しない選択肢もアリ
キャッシュレスは推し進められはいても、それを導入することで利幅が取れなくなる商売を事業としてやっているのであれば、あえて(戦略的に)クレジット決済を導入しないという手はあります。
むしろ、手数料が発生する現状があるのであれば、キャッシュレスは導入すべきではないとさえ、言えます。
ある商品の需要がなくなり、その影響である事業が衰退していくということは、これまでに何度もあったことです。
キャッシュレスを導入するか、しないか。(今日のブログでいえば、クレジット決済をやるかやらないか)
もしかすると、キャッシュレスが利幅を取りにくい産業に影響を及ぼす可能性もあります。
だからこそ、キャッシュレス熱が高まり始めている今、それについて考える価値があります。
当面は、あえて導入しないという選択肢。
あるいは、もしそれで将来売りが減るのであれば、利幅を取れるように動く。
もしかしたら、キャッシュレスの波は、そこまで影響するのかもしれません。