ノルウェイの森をはじめ、村上春樹小説を読んでいる、よくお酒を飲むシーンが出てきます。
ビール、ウィスキー、カクテル。
高校のころから村上春樹小説を読んでいるので、当初はお酒が分からず、何のことかわかりません。
そのうち、小説に出てくるお酒を飲みたくなります。
かつて、それを飲もうとして、バーで小恥ずかしいことになりました。
そんな10年以上前のワンシーン。今でもしっかり覚えています。大事な記憶です。
なぜ、村上春樹小説が好きか
村上春樹小説が好きで、ほとんどの作品を読んでいます。
なぜ好きかと聞かれたとき、通ならばそれらしい理由を語るのでしょうが、私はそううまく語れません。
しいていえば、世界観。ありがちな答えです。
どうですか?しっくりきませんよね。読んでいないと、世界観は分かってもらえないのは当たり前です。
もうひとつ、直接的な理由があります。
それは、登場人物がお酒を飲むシーンが好きだからです。
村上春樹小説と酒と
多くの作品を読んでいると分かりますが、話のなかでよく、お酒を飲むシーンがあります。
自宅のアパートで。
近所の公園で。
大学の寮で。
バーで。
女友達の家で。
食堂で。
ある登場人物と登場人物がやりとりをする中で、お酒を飲むことに光を当てるように書かれることが多いです。時に、銘柄の名前付きのときもあります。
たとえば、「風の歌を聴け」というデビュー作では、ジムビームを。
「1Q84」では、カティーサークが。
何かは忘れましたが、トムコリンズが。
それぞれ出てきます。
その、話の流れでのなかで、酒を飲むシーンが、なんとも言えず好きなんですよね。
これが好きともなると、そりゃあ、そのお酒を飲みたくなります。
ただし、10年以上前のことで、スマホはなかったし、一人暮らしの家にはパソコンがありませんでした。まだまだ、情報が少ない時代ぎりぎりでした。
そのお酒が、何なのかがわかりません。
あるとき、バーに行きました。
ジムビーム。バーで知ったか。小恥ずかしい。
20代に入り、少し経った頃、大学院の同期だった仲間とバーに行きました。
すでに、三件目。確か、東京駅近くの八重洲口だかの出口の近くにある、地下のバーでした。
その仲間の行きつけだというバーは、ひどく混みあっていました。
私と、彼と、もうひとりで入りました。
もう結構酔っていたので、気分が良かったです。
メニューを渡されると、見たことにあるお酒が。
「ジムビーム」
今でこそ、ハイボールブームでウィスキーのCMでジムビームは知られていますが、10年少し前、まだハイボールの人気は来ておらず、ジムビームが何かを知らなかったのです。
ただ、小説で読んだことがある、だけ。
そのときに、これを頼んでみたいなと思いました。
「あ、あの、ジムビームを・・・」とオーダーしました。
「飲み方はどうされますか?」と、聞き返されました。
ジムビームは、カクテルか何かだと思っていたので、この返しは予測していませんでした。
とっさに出たのが、「お、おすすめの飲み方は何ですか?」という言葉でした。我ながら、ナイスです。
お店の方は、「ソーダ割をおススメしますが」と言うことでした。そうですよね、そうですよね。確かに。
このやりとりのなか、途中妙な間があったりして、おそらくジムビームが何なのかが分かっておらず、飲み方が分かっていないことがバレた気がしました。
正直言って、小恥ずかしい。青いです。
ただ、そこで飲んだジムビームは美味しかったです。今でも、あの空間と、オーダーのやりとり、飲んだ感じは覚えています。
おそらく、今ならすぐにスマホで何のお酒で、どう飲むのが正解かが分かるのでしょう。
それがなかった、最後の時代か。それが、今の自分の割と大きな部分を形作っていると確信しています。
特に、10代のラストから20代の前半は、何やら色々悩んでいたこともあって、村上春樹小説をはじめとして、小説は結構読んでいました。
そのなかで、気に入ったシーンの、気になったお酒をバーでオーダーするという体験が出来たのは、ラッキーだったとしか言いようがありません。
けさ、道端のごみ捨て場に、カティサークの空き瓶が放り投げられていたのを見て、ついつい思い出してしまいました。
ただ、それだけです。
編集後記(きのうの野田)
きのうは、先日完了した記帳指導の報告に税務署へ。
報告ついでに、大宮税務署近くのコーヒー店、ALL THAT COFFEE WORKSへ。
たまに店内でコーヒー飲んだり、豆を挽いてもらって買って帰ったりしてます。
気のいい主人と少し話して気分転換。そして、移動して少し仕事を。
しばらく朝は、買ったばかりのコーヒーを淹れるのが楽しみになります。