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値引きか?下取りか?異なる設備投資の取得金額。支払金額は同じでも利益・税金には影響する場合がある。

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会社の古い設備を入れ替えて、新しいものを取得するとき、価格交渉の過程で、旧設備の下取り価格を多めに見るということが行われます。

こういう場合、下取りが実質的に値引きのようになっていたりします。

しかしながら、実質値引きでも、下取りは旧設備の売却として処理しなければならず、新設備は下取り金額をマイナスする前の金額で買ったことにしなければなりません。

設備の入れ替えの際、値引きか下取りなのかは、ケースによっては利益と税金に大きく影響する場合があります。

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値引きか下取りか?

値引きと下取りは違うものです。

値引きは、新しい設備の購入金額が安くなる効果があるもの。

下取りは、新しい設備の金額には関係なく、旧設備を買ってもらったということ。

設備を入れ替えるとき、購入と同時に旧設備を引き取ってもらうと、下取り金額分を新設備の購入金額からマイナスするので、支払金額は下取り分減り、結果下取りが値引きのような感じになることは多いです。

「実質値引きですよ~」と、商談のときに言われ、なんとなく値引きのような気になってしまいますが、下取りなのか、単純に値引きなのかで、実際の経理は変わり、利益と税金に影響します。

購入明細でも、最終金額が下取り金額を差し引いた残額で表示されているあるため、確認が必要です。

下取りを値引きと思ったケース

元の金額が800万円で、旧設備の下取り金額が150万だった場合をみてみましょう。

差し引き前 800万円

下取り金額 150万円

(支払金額) 650万円

この場合、650万を実際に支払って、購入手続きは完了します。

800万円が取得価額として償却のベースとなり、150万円は、入れ替えで引き取ってもらった設備の売却金額となります。

150万円は値引きと思い込み、650万円が償却のベースとしようとすると、実は間違いです。

実際に償却額を数字で見てみましょう。

前提として、購入した設備は定率法償却。耐用年数7年(率0.334)とし、下取りに出した旧設備は残存簿価1円であったとします。取得は期首の月にしたとします。(12ヶ月償却)

特別償却を30パーセント適用できる設備であったと仮定。

・650万円の取得価額と誤った場合

普通償却 6,500,000 × 0.334 =2,171,000

特別償却 6,500,000 × 30% =1,950,000

(合計) △4,121,000

・800万円の取得価額で計算した場合

普通償却 8,000,000 × 0.334 =2,672,000

特別償却 8,000,000 × 30% =2,400,000

(小計) △5,072,000 

売却益 +1,499,999

(合計) △3,572,001

※取得価額を650万円と誤っていた場合の償却額は4,121,000円であり、これを基礎に利益シュミレーションなどを行うと計算が狂います。

行うべき方法である800万円で計算すると、償却額は5,072,000円となり、650万円ベースでやるより償却額は多く見えます。

しかし、800万円ベースで計算するときは、簿価1円の設備を1,500,000円で売却した処理が絡むため、1,500,000円 - 1 =1,499,999円の売却益が発生します。

これを考慮に入れると、650万円ベースで誤って計算した場合に比べて、548,999利益が見込まれてしまいます。

4,121,000 - 3,572,001 = 548,999 これだけ利益が増加します。

経理処理も変わりますし、利益シュミレーションも変わってきます。

これが、1台の入れ替えなら、そこまで問題はありませんが、数台の入替えとなれば、その台数分の計算違いが生じてしまいます。

利益が増えれば、その分税金も膨らみます。

支払金額のみならず、どういった契約で設備を買っているのかも、明細を細かく見て確認する必要があるということです。

消費税には影響するか?

ここまで、設備投資と下取り・値引きの認識の誤りが、会社の数字にどう影響するか見てきました。

利益には、影響するということでした。

そして、気になることがもう一点あります。消費税です。

消費税では、償却という概念はないので、買ったらその金額に対する消費税は課税仕入として控除することができます。売ったら売却金額で課税売上となります。

今回提示した、650万円と800万円の事例においては、消費税にはさほど違いが出ません。

650万円が税込みとすれば、その内の消費税は  × 8/108で、481,481円。

650万円ベースで考えると、481,481が控除できます。

800万円ベースの場合の控除消費税は、 8/108で、592,592円。

そして、そこに約1,500,000円の売却に係る課税売上消費税、 8/108 は、111,111円。

この取引で、650万円ベースは481,481円の消費税控除

800万円ベースは、△592,592 + 111,111円で、481,481円。

いずれも、変わらないのです。

ただし、実際の税額計算では、より細かく計算するので、提示したのは、だいたいの数字となります。

消費税には影響は少ないですが、利益と利益をベースとする税金には大きく影響する場合があります。

とはいえ、はじめからこれを注意していても、取引の慣行から、下取りにしないで値引きにしてくれというのも、難しい話かもしれません。

ただ、この構造が分かっているのか、いないのかで、思う数字とのズレは少なくなります。

状況に応じて、確認するようにしましょう。

編集後記

昨日からビットコインにトライすべく、いろいろ調べています。

とりあえず入手して、使ってみます・・・!


クラウド会計ソフト対応の税理士 野田翔一です

さいたま市大宮にてクラウド会計ソフトを専門をはじめとしてサービス提供をしている税理士です。クラウド会計ソフトを使った経理の効率化、請求書や給与ソフトとの連携で経理を楽にする提案・キャッシュレス対応へのアドバイスなどを得意としています。税務顧問・スポット相談いずれも対応しています。 税理士野田翔一税務コンテンツHPはこちら 代表プロフィール税務顧問 スポット税務相談 クラウド会計導入コンサルティング
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