多種多様な経済社会に対応するべく、複雑になる税金・会計の世界。
仕事をしていくうえで、ベースとなる基本的な知識の維持、そして毎年改正が入る税の知識のアップデートなど、インプットは絶えず欠かせません。
こういう状況にあるなか、高度、難解な専門家向けの書籍だけでなく、書店に多く並んでいる、一般向け・経営者向けのハウツー的な経理本・税金本も読むようにしています。
こういった本を読むことでこそ、得られるものもあるのです。
税理士の場合の税金知識のインプット
多くの税理士は、日々仕事をこなしながら、税金知識のアップデートのための勉強をしています。その方法は税理士会や、その他色んな団体が主催する研修会があり、そこでの研修講義で学ぶ方法、また多くの税務会計書籍があるので、それを読むことで学ぶ方法などがあります。
今であれば、税理士会がオンライン講義も公開しているので、税理士会員はそれで学ぶ、ということもできるでしょう。
こういったインプットは、よくある事例の知識を得るうえでは必須ですし、改正項目など、これから重要になるという部分は必ず押さえておかなければなりません。
ただ、こういった学びは、税理士業務を行うためのものであり、ダイレクトに税金・会計の難しい内容を学んでいるため、インプットをし、自分のものしたとしても、難しいレベルで頭にとどまるということが多いかと思います。
難しいレベルで留めておくと、税務書類を作成する、税務署や他の税理士とやり取りする、という場合は問題ないとしても、その仕事の直接の当事者である依頼者とのやり取りでは、問題がないとはいえないのではないでしょうか。
そのために、一般向け・経営者向けの書籍を読むことが必要となってくると思うのです。
依頼者とやりとりするために必要なこと
依頼者から、税金や会計の相談を受けると、その内容が実際にどういう取扱いになり、どういう結果を依頼者や、その会社にもたらすか、検討したうえで、依頼者に説明しなければいけません。ここで、どう説明するのか、ということが重要になってきます。
依頼者からの話は、実際の取引の話であったり、これからどういう形で事業を展開していくかという、事業活動のライブなお話であるはずです。その動きを、税金会計に絡ませていくことで、どういう問題が起きるか、一旦税理士の頭のなかで難しいレベルで咀嚼し考え答えを出して、依頼者に説明します。
ここで、その難しいレベルのまま、依頼者に説明するのではなく、また一度、依頼者の立場に戻して説明することが、本来は求められているはずです。
一般向け・経営者向けの経理本・税金本を読む理由
一般向け・事業を始めたばかりで自ら経理をやるような経営者に向けた、経理や税金の書籍は、筆者は税理士や会計士などの専門家であることが多いですが、その内容は、専門家でなくとも分かるように書かれていることが多いです。多くは、専門家が、その依頼者に合わせた、優しい内容で話すように書かれています。
そういったものをあえて専門家が読むことで、何が得られるか。
それは、わからないことを、わかる、という感じでしょうか。
日々仕事をしていると、税務署や税理士仲間とのやり取りで話す内容を、そのまま依頼者に話してしまいがちです。その難しいのが標準だと思っている、当たり前だと思っている、のが問題なのです。依頼者に話を理解してもらえないというときは、そういう感覚で話をしているという可能性もあります。繰り返しにはなりますが、難しい内容は、依頼者の立場に戻してお話しする必要があります。
一般向けや経営者向けの書籍を読むことで、日々難しい内容で捉えていることがやさしく説明されていたり、図や表で分かりやすく解説されていたりします。依頼者の立場に立って、そういった本を読むことで、何がわからないのかが、わかるようになるヒントを得ることが出来ます。
こういうインプットを継続的に続けていくことで、わかりやすい説明をする心がけが出来るので、日々、依頼者の方々とお話しするときも、わかりやすく説明する、ということを忘れずにいられることができるのではないでしょうか。
最近読んだ、数字を分かりたい、ひとり社長向けの税金・会計本です。数字や税金の計算を説明するうえで、いろいろ参考になる部分がありました。