経営者が注意しなければならない、収益・費用≠収入・支出、という概念


会社・事業の利益は、収益から費用を差し引いた差額で計算されます。

しかし、案外、収益と費用については知られていない、あるいは勘違いをしているという方は少なくないです。利益を構成する基となる収益・費用、今日は考えてみます。

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収益・費用をおさらい

会社や事業の利益の基となる数字、収益と費用。まずは、収益と費用とは何か、について、おさらいしたうえで、いろいろ考えてみたいと思います。

収益

収益として、代表格は売上です。そのほか、本来の事業とは違うが、その事業をするうえで生じたものも、収益となります。事業の備品を売ったとか、会社で契約する保険金が入ったり、政府の助成金なんかが入ってきたときも、収益ですね。ここでは、いったん、もらったお金をイメージしてください。

費用

費用として、有名なところでいくと、商品や材料を買う仕入、家賃や水道光熱費、消耗品費、旅費などですが、その他にもたくさんあります。事業を行うために必要としたものは費用なので、その他たくさんありますよね。交際費とかもありますし。ここでは、いったん、払ったお金をイメージしてもらえると良いです。

収益費用について、各々の最後の部分に、収益はもらったお金をイメージ・費用は払ったお金をイメージ、と書きました。そんなの当たり前、とも思われるかもしれません。実は、ここが、今回、収益と費用を考えるうえで、重要になります。

もらうお金は収入・払うお金は支出、これはみなさんわかるはずです。

利益=収益-費用

会社の利益はこう求めると先ほどもありました。

そして少し前には、収益費用は、収入支出のイメージでいきましょう、とも書きました。

しかし、あくまで、これはイメージです。収益≠収入・費用≠支出 なんです。

これらはイコールではありません。

収益・費用は、収入・支出とイコールではない

この、収益・費用は、収入・支出とイコールでない、という点、ここが案外、知られていなかったりします。収益≠収入・費用≠支出、をみていきます。

収益≠収入、これらは売上でみていきます。

まず、収入は、売上の代金であるお金を回収したときに生じます。収入は、もらった現金のことをいうわけです。これが収入です。

そして収益です。収益は、さきほどの収入とは異なり、現金の動きとは関係なく生じます。ここが、まず、収入とは大きく違います。

例えば、文房具屋さんにペンを売る仕事で、毎月2回ほど売りにいくとします。ペンを納品して、代金は、毎月末日でいくらだったか集計して、翌月の15日までに振り込んでください、という請求書を出す。こういう場合、ペンを納品するタイミングと、現金が手に入るタイミングがズレますね。納品が4月10日と4月25日・入金が5月15日、という感じです。

このズレが、収益≠収入、です。

納品したタイミングの4月10日、25日の時点で収益があがります。収益は、お金を得ることが確定した段階で生じます。相手の倒産などがなければ、ふつうは入金は約束されていますよね。

このズレは、会社の一年で、期中は良いのですが、期末に納品し、入金は翌期というケースだと、期中は納品で収益を計上する必要があります。

現金の動きだけでは、収益は、とらえきれないのです。

そして、費用≠支出、これは気を付けたいポイントです。

まず、さきほどの文房具屋さんの側で仕入をみてみましょう。

文房具屋さんは、4月10日・25日にペンを仕入れ、翌月5月15日に支払います。費用は、4月10日・25日に生じます。支払うことを約束したからです。そして、5月15日に、支出がでます。支出は、お金がでていくことです。

このとおり、費用は相手方に納品してもらった段階で生じるのです。

(ただし、仕入の場合、期末にまだ売れてないペン(在庫)があると、仕入額からマイナスするので、この場合、費用は減りますが)

他にも費用の例をみてみたいと思いますが、さきほどの仕入、もし初めての取引で、初回は事前に代金を振り込んだうえで、後日納品するというケースもあるでしょう。

この場合、モノがくる前に支出が生じますね。そして、後日納品されたタイミングで費用があがるわけです。さきほどの、納品→支払と順序が逆ですね。

仕入に限らず、先に代金を支払う、内金を払うなど、モノを手にする前に支出が生じるケースは多々あります。取引のときもそうですが、少し大きい金額の支払いがあるときは、他にも先払いは多いです。ここでよく勘違いされるのが、払ったんだから費用であると思われるケースが多いです。特に、会社の期末ギリギリに大きな支払いをし、納品は翌期というケース。この場合、費用となるのは翌期です。

また、納品を依頼した(注文した)が、納品自体は翌期の場合、これも納品段階で費用ですね。注文だけではダメというわけです。

今回、ペンという仕入を引き合いにだしましたが、会社の備品にしても事務用品にしても、納品を受けた段階で費用です。注文しただけ、内金払っただけ、代金前払いしただけ、ではまだ費用とはなりません。

収益、費用いずれにしても、注意したいところです。

正確な収益・費用の把握で得られること

ここまで、収益≠収入・費用≠支出、をみてきました。

少しの期間のズレですが、厳密にはそういうことになるわけです。あの支払いはどうなるんだろう、という疑問が出てきた方もいるのでは?特に費用はほかにもいろいろ複雑です。

正確な収益・費用が分かるのであれば、正確な利益を把握することができます。毎月しっかり把握して、月次決算などを組むのであれば、この概念はしっかりおさえておくと良いです。業績把握と設計により役立ちます。

また、期末ギリギリの取引は、税務署の税務調査などの際、よく見られるポイントでもあります。さきほどの、注文だけ、内金だけ、というケースは注意でしょう。実際には、継続的に毎月定額振込の支払いで一定のものは支出が先でも費用と認められる税法の特例もありますが、基本的には気をつけておきたいところでしょう。

「あれは経費になんの?」ということも大事・・・?ではありますが、収益と費用に関しては、基本ではありますが、しっかりおさえておきたいところです!

編集後記

昨日は、早朝にジム、午前中は申告業務、午後は打ち合わせと申告業務。

移動は一週間ぶりにロードバイクで。20キロ程度でしたが、少し疲労が残ってます。


クラウド会計ソフト対応の税理士 野田翔一です

さいたま市大宮にてクラウド会計ソフトを専門をはじめとしてサービス提供をしている税理士です。クラウド会計ソフトを使った経理の効率化、請求書や給与ソフトとの連携で経理を楽にする提案・キャッシュレス対応へのアドバイスなどを得意としています。税務顧問・スポット相談いずれも対応しています。 税理士野田翔一税務コンテンツHPはこちら 代表プロフィール税務顧問 スポット税務相談 クラウド会計導入コンサルティング
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