商品の価格に対する値上げ、値下げという話はよく聞きますね。
『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』という本を読んでみました。
以前から、モノにいかにして値段をつけるかということに関しては興味がありました。
今日は、モノの値決め・値上げについて考えてみたいと思います。
値上げをしようという風潮
正直、そこまで景気が良いとはいえない状況ではありますが、ここ数年で、モノの値上げをするという風潮が見られていたように思います。
特に、数年前の消費税率を8%へ増税するというタイミングで、税込金額をベースアップしたり、5%税込の金額を税抜金額としてそこに8%消費税分を載せるという便乗?的な値上げ手法などが取り上げられていましたね。
まぁいろいろあるわけですが、あのタイミングを契機に、何でもかんでも安ければ良い、安いことが正義的な風潮に、若干ではありますがストップがかかったきてるように感じました。
その裏側には、安いモノは嬉しいけれど、本当に価値のあるモノにはお金を出して買う、むしろその部分も大切にしたい、という姿勢が見えています。
ここ数年の、とにかく安さ、激安、限界価格的なところに一部疲弊したという事実も影響しているかもしれません。
自分が身を置く、税理士業界も明らかに安価な流れがきていますしね。一昔前であれば、会社の顧問は月額5万で、決算料を30万で、年間100万程度で受けていた仕事も、月額1万円や、むしろ5000円とかで受けているケースも見られるようです。まぁ、こういう激安税理士は、最終的にはいろいろオプション付けさせて、そこそこ高くなるようですが・・・。
しかし、ここのところで、ややその風潮はおさまりつつあるのかな?と思うところもあり、価値がある、自分が欲しいモノ、気に入るモノに対してはお金を出すという流れも感じていて、そういう経営手法も聞くことがあったため、調べたくなって値上げに関する本を読んでみたわけです。
『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』読んでみた
いま書店に行けば、値上げや値決めに関する本はたくさん出ています。このテーマだけでひとつの棚になろうかという勢いです。それだけ、実はそういうムードになりつつあるということでしょうか。
まぁいろいろ立ち読みしてみて、『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』という本を手にとったわけです。石原明さんという経営コンサルを中心にやられているが書かれています。
この本は、ざっと見て、小難しいロジックや数字を多用していないことを確認して、選びました。私が実際に個々の製品の原価や経費を分析して、論理的に値決めをするつもりは毛頭なかったので、導入での理論と、その理論を応用した事例が紹介されている、これをチョイスしてみました。
やはり、全体を通してのコンセプトは、価値あるモノ、僕私が欲しいと思うモノ、お金を出したいと思うモノに対しては、高い値段でも売れるという姿勢に着目されています。その思いを、B to C(最終消費者向けの販売)、B to C(対事業者向けの販売)いずれにも、適用させ、実際にいかにして実現するかということが紹介されています。
私が気になったワードは、
・やはり、安ければ良いというわけではない、という点
・まず、とにかく値段を上げてみる
・値上げをすれば単価が上がり、販売数量が減る、経費が減る
・今の価格はそもそも適正か(そもそもが安いのでは?という視点)
・価値をしっかり伝える
・あえて、高いから買うという場合もある
・原価、業界比較から売値を決めない
・売り手が価値をしっかり認識する
・値上げに伴う新規顧客と、既存顧客との関係・・・
この本、捨てページなく、結構全部読めるので、エッセンスも引き出し切れないですが、しいていうならこのあたり、特に印象に残っています。
これらの思考の部分に加えて、実際にどう動けば良いか、営業への手法も書かれています。
売り手として、自分が扱う・売るモノ(実際の物でもサービスでも)の価値を再確認して、あるいは価値が弱ければ価値を見出して付加する。
そして、その価値まで考えたところで、他社比較や原価からではない、そしてその価格で自分が納得がいく金額で値決めをしようということが紹介されています。
また、とにかく値段を上げてみる、という部分については、これまでの金額が安すぎたという場合もあるということを示しています。経営者側は、この金額が妥当か、むしろやや高いか、と思うところも、実は買い手は思わず安かったと思っていたかもしれません。
これまでが安すぎたという場合は、実はあるのかもしれませんね。
だから、とにかく値段を上げて、価値を説明したうえで、買う人にだけ売ろうということがいわれています。
そして、いかにして高く売るかというところを攻略して、実際に実行できれば、安価で疲弊、右往左往して仕事をして、仕事をとって、なんとか事業を回すという状況が、好転されるといいます。
単価が上がれば、売上が上がり、利益も増え、単価が上がった分以前より販売量は減らせるので、販売経費やアフターサービスも件数が減るため、経費全体を圧縮して、最終利益も上がるので、この状態を目指そうという部分も書かれていました。
この本の最終的に目指そうというところは、その経営状況を作り、そのうえで経営者が未来を考える余裕を持ち、あるいは新製品や新規事業へ考えを巡らせ、実行に移す環境を作ろうというところのようです。コンサルの手法と、目指す部分について、実務的な部分は別にあるとしても、ある程度の大枠は、このようにやっているんだなというところが見えてきますね。
この本のエッセンスは、特に中小企業であれば、大きくも部分的にも活かせるところが大きいのではないでしょうか。私も実務で活かせる部分がないか考えてみようという気になりました。
けっこう読めました。オススメです。
それは起業か?
ここまで、値上げをする経営手法を、本のエッセンスとともに考えてみましたが、全体を通して気付いたことがありました。
この値上げによる経営手法は、売り手自身がある程度、自分の仕事に価値を感じていて、あるいは価値を見出すことが出来て、はじめて出来る方法ともいえます。
仮に同業他社と比べて、価値というものがほとんどない・・・という場合には正直難しいところなのかな?という思いがわきました。
というのも、いま、中小企業といえども、大手企業からの一本受注的な、下請け構造で仕事をしているという会社が多いです。そのなかでも、ある程度自社の強みを主張して、言い分を聞いてもらえれば良いですが、強気な元請け企業から、仕事を回してやってる、嫌なら他に回すという姿勢で来られ、価値も何も考慮なく、言われた金額でやっているという状況も現実にあります。
以前、この本で、
女子高生社長と、そのお父さん(椎木隆太さん・この方も社長)との対談というか会話で、日本の会社は下請け専門企業が多いという状況をみて、それは社長かもしれないが起業といえるのか?という話がありましたが、その業を起こすという起業は、自分で価値を作り出して提供するところにあって、下請け専門では起業といえるか・・・というトピックがありました。
この考え方でいく起業でなければ、価値の認識や価値提供を説明するのはなかなか難しく、値上げによる経営手法を使うのは難しいので、まずは体制づくりから始めることになるのでしょう。「値上げ本」では、建築建設という業界でも、下請けによらない体制作りと値上げを実行したケースも紹介されていましたね。そこの部分も面白いところでした。
そもそも、起業企業であるか、考えるところから、会社を見直すというのも大切ですね。
正直、価値を見出し、付加して、さらにそれを説明して値上げに踏み切るのは、凄まじいパワーが必要でしょう。結果は付いてくるのでしょうが、やるときは、やると決めてやるしかないでしょうね。
今回、長くなりすぎました・・・!
編集後記
今回紹介した「値上げ本」、読み終わったのが先週でした。
ちょうど先週、たまに遊びに行く店で、大宮にあるヨーロッパの木のおもちゃの店、 「Toy-Toy」に行ってきました。
このお店の商品、ヨーロッパの良質な木のおもちゃを中心にいろいろ置かれています。
そういえば、こういう木のおもちゃも、信頼された機関の目を通された、良質な木で、遊ぶ子供の思考や体に良い影響を与えるという価値を提供する部分があるよな~なんて思いましたね。
そもそも輸入を経ますし、その価値を伴うため、安くはないです。
これも、良質な欲しいモノの価値にお金を出すというひとつのモデルでしょうね。
写真も撮らせてもらいました。店内こんな感じです。
ちょうど読み終えた本とリンクし、ハッとしました。
1月に、もやもやさま~ずの大宮編で紹介された店です。 「Toy-Toy」 HP
さいたま市大宮区浅間町にあります。営業日・営業時間に注意してから行くと良いです。