経費だけではなく所得控除で減らせる税金。個人事業・フリーランスの個人確定申告は、所得控除を確実に使い切ることで節税できる。


個人事業・フリーランスの個人確定申告で正しく税金を減らすために大事なことは、確実に所得控除を使い切るところにあると考えています。

(執筆時点での現況・法令に従って書いています。)

29年分は、30年3月15日までやっている、さいたまスーパーアリーナ申告会場。

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経費を増やすより所得控除を使い切ることが大事

個人事業やフリーランスの方が確定申告をするとき、大まかにいえば以下のように税金が計算されます。

まず、売上から経費を差し引いて、所得金額(利益と同じ)を計算します。これが、税金計算の基礎ベースになります。青色申告なら青色申告決算書、白色申告なら収支計算書で作ります。

これで計算した所得金額から、所得控除の金額(所得から差し引かれる金額)を差し引いた金額が課税所得金額となり、それに税率をかけて、納付することになる所得税は計算されます。

ざっくりいえば、

売上 - 経費 = 所得金額

所得金額 - 所得控除の額 = 課税所得金額

課税所得金額 × 所得税率 = 税額

といった感じです。事業以外に所得がなければ、ほぼこの計算でいくことになります。

個人の事業の税金が大きくなるか小さくなるかは、まずは売上がいくらであるか。次いでその売上から差し引く経費、そして所得控除の額それぞれが大きければ大きいほど、課税所得金額は小さくなり、課税所得金額に税率をかけて計算することから、税額も小さくなります。

一般的に税金を減らすには、経費をいかに増やすか?といった話が多いのですが、私が考えるところでは、所得控除を確実に使い切るということも重要です。

会社員であれば、給与の年末調整で会社が所得控除について計算してくれて、ある程度正しく使い切ることができますが、個人事業とフリーランスの申告では、自身で正しい所得控除を使い切る必要があります。

見れば分かる。所得控除のインパクト

あまり触れられることのない、所得控除。実は大きな力をもっています。

経費はひとつ何千円、数万円の単位ですが、所得控除では何十万という金額にもなります。

所得控除は、生命保険や年金、国保といった自身で支払いをしたことによるものと、何も支払っていなくても養う家族(夫・妻、子どもなど)がいれば自動的に使えるものがあります。

支払っていても、それが対象になると分からなければスルーしてしまいますし、扶養していることで使える控除も自身が対象になると分からなければスルーしてしまいます。

よくあるものとしてあるのは、このあたりです。

・社会保険料控除

・生命保険料控除

・配偶者控除と扶養控除

そのまま控除、社会保険料控除は大きい

まず、社会保険料控除。社会保険料控除は、対象となる社会保険料を支払った分そのまま、控除額となります。

社会保険料控除の対象となるものとして大きいものは、

・国民健康保険(国保)の保険料

・国民年金の掛け金

国保は前年の所得に応じて数千円から80万円程度までと、金額によってはインパクトが大きいものになります。個人事業やフリーランスであれば加入する国保。確実に使いましょう。

また、国民年金の掛け金についても対象となります。国民年金は、自身のものと併せて家族の分を支払っていれば、それも対象になります。主人が事業主なら、妻と大学生の子どもの分まで含めて、控除をすることができます。金額も、ひとり18万円程度となり、数人いればその分増えるので、結構大きいです。

これら社会保険料控除は、支払った金額がそのまま控除額となります。経費と同じ効果があるともいえます。それぞれ確実に使いましょう。

生命保険料控除で最大12万円の控除

生命保険や医療保険・がん保険や個人年金といった、いわゆる生命保険料は、支払った金額に応じて、合計で最大12万円の控除を受けられます。

自身で加入している生命保険があれば、対象となります。

生命保険料控除は、何百万円と保険料を支払っても、それが全額控除となるわけではありません。最大12万円です。しかしながら、12万円もばかに出来ません。

毎年秋頃に、保険会社から控除に使える証明書が届きます。それを紛失するか、入っていることを忘れると控除ができません。

こちらも確実に使い切りましょう。

配偶者控除・扶養控除で38万円以上の所得控除!

専業主婦(夫)である家族がいるか、パート収入程度の所得である妻がいる場合、配偶者控除が使える可能性があります。配偶者控除は38万円。決して小さいものではありません。

また、配偶者以外の扶養している家族がいれば、扶養控除が使えます。こちらも、家族の所得制限はあり、子どもはバイト代を稼ぎ過ぎていれば適用外となりますが、そうでなければ使える可能性はあります。

年配の両親を養っているという場合も扶養控除を使える可能性があります。年金をもらっていても、国民年金のみの掛け金程度でもらっているケースであれば、年金の特別控除で両親の所得がクリアできれば、両親の扶養で扶養控除が使えます。

例を挙げておきましょう。

16歳から18歳、23歳から69歳の扶養家族であれば、38万円の控除。

19歳から22歳であれば63万円もの控除を使えます。

また、年配の両親(70歳以上)を扶養していれば同居で58万円、同居でなければ48万円の控除となります。

これに加え、障害がある家族がいれば、障害者控除があります。

高校生の子ども1人と大学生の子ども1人でバイト代は100万程度、そして専業主婦の妻がいる方であれば、38万円の3人分で、114万円の控除が受けられます。決して小さくありません。

こちらは、自身で確認してカウントする必要があります。確実に使い切りましょう。

個人・フリーランスの確定申告は、自分で決める

社会保険、生命保険、扶養の控除で、合わせると結構大きい控除になります。

実は、あえてこの記事を書いたのには理由があります。

自身で確定申告をしている方で、これら所得控除の一部あるいは全部が抜けているというケースがあるからです。

確定申告納税相談でも、たまに抜けている方がいます。こちらとしては、一応確認のために聞いてみると、「それ、あります」という返事をもらって、慌てて追加したりということもあります。

税理士に依頼しているのであれば、概ね大丈夫なのでしょうが、自身でやられている場合は、もれのないようにやってもらいたいところです。

経費とは違って、対象であれば控除ができる所得控除。自身で確認し、確実に使い切りましょう。

編集後記

昨日の夜は帰宅後に走ろうかと考えていたところ、何やら雨嵐で断念。

走れる日は夜走ろう企画をひとりで実施中です。

最近、寒さが和らいだので走るのがぐっと楽になりました。


クラウド会計ソフト対応の税理士 野田翔一です

さいたま市大宮にてクラウド会計ソフトを専門をはじめとしてサービス提供をしている税理士です。クラウド会計ソフトを使った経理の効率化、請求書や給与ソフトとの連携で経理を楽にする提案・キャッシュレス対応へのアドバイスなどを得意としています。税務顧問・スポット相談いずれも対応しています。 税理士野田翔一税務コンテンツHPはこちら 代表プロフィール税務顧問 スポット税務相談 クラウド会計導入コンサルティング
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