知識、経験、判断を生業とする仕事は、その情報を提供することが仕事のひとつです。
税理士も、そのひとりであり、そうした仕事はたくさんあります。
そこで、よく問題として話に持ち上がるのが、
「無料(タダ)で聞かれてしまい、仕事にならない」というもの。
もし、そう思うことが多いなら、タダで聞かれない土壌を作ることで、それを防げます。
電車も無料(タダ)では乗れません
「無料(タダ)で聞くな」という話は意外と多い
知識、経験、判断が価値になる仕事があります。
税理士の税務・会計の知識をはじめ、多くの士業が持つ特殊性から来る知識、あるいは経験や判断。そして、士業でなくても情報に価値があれば、それが仕事になります。
そうした仕事をしている世界にいると、価値ある情報をタダで聞こうとする人に遭遇することがあります。
それで、「無料(タダ)で聞いてほしくないよな」という話になるわけです。
本来であれば、顧問契約なり、個別相談なり、なんらかの仕事として提供し、お金をもらうことで、その情報をお話するのが本筋です。
そうした仕事とお金を介するやり方を通さずに、なんとか情報だけ聞き出そうとされるようなときは、あるものです。
「ちょっと、あれ教えてよ。少しでいいから」といった感じで。
仕事としてやっている以上、お金をもらわなければ、成り立つものではありません。タダで聞かれてばかりいては、仕事にならないからです。
ただ、私の場合、そうした経験はここ何年ありません。
それはなぜか?
それなりに、無料(タダ)で聞かれない土壌を作っているからです。
無料(タダ)で聞かれない仕組みをつくる
情報を仕事をしている場合、なんの対策もしていなければ、無料(タダ)で聞こうとする人は、後を絶たないというのが、私の持論です。
無料(タダ)で聞かれないためには、そうされない土壌、それなりの仕組みが必要になってきます。
私が作っている土壌は、たったの3つです。
・情報が無料(タダ)と思われないようにする
・提供メニューは明確に示す
・無料(タダ)で聞きやすくしない
この3つをやることで、ほとんど問題がありません。
情報が無料(タダ)と思われないようにする
根本的に、情報が無料(タダ)と思われないようにすることが大事です。
そのために、やっていることがあります。
それは単純に、
「無料相談はやっていない」
としていることです。
少しでも相談となるのであれば、単発となるスポット相談で依頼をしていただくことにしています。
唯一、税務顧問を前提とした事前相談だけは無料にしていますが、そこで解釈の判断や回答をすることはしません。状況や課題を聞いて、顧問の際の参考にするだけです。
多少の知識をお話しすることはありますが、その後に顧問でお金をいただくので、そこではいただかないというだけです。
税理士であれば、初回相談を無料としているケースがあります。もし無料(タダ)で聞くなと思うなら、それをやめるのが筋です。無料相談を設定しているなら、無料で対応するのは義務になるので。
無料はやっていないと分かるようにする。
無料でやっているかどうかを曖昧にしないようにしましょう。
提供メニューは明確に示す
税金を扱う特殊な仕事であるゆえ、税理士の仕事には税務顧問があります。
その仕事の割合は、一般的にとても大きいです。
また、年に一回のみ、決算と税務申告だけをする仕事というのも、税理士の仕事には多いです。
この、税務顧問と年一決算の位置づけが曖昧で、「無料(タダ)で聞くな」問題は起きます。
税務顧問は、毎月いくらという顧問料を払い、決算税務申告時期に決算料を払うというケースです。この場合、いつでも相談ができ、いろいろ聞くことができるのが、ポイントです。
一方で、年一決算。
本来は、年に一回の決算と税務申告だけを依頼し、それ以外の時期は相談は不可というメニューです。
ただし、年一決算としつつも、一年を通して相談ができるようになってしまっているケースは多いです。
税理士からすると、
「年一決算は顧問とは違うんだから、いつでも聞いてくれるな」
ということになるのでしょう。
これに関しては、仕事のメニューを明確に示すことが大事になってきます。
私は顧問も、年一決算もメニューに掲げていますが、顧問はいつでもメール相談可能とし、年一決算は決算と税務申告だけをして普段の相談は別料金をお願いしています。
たとえば、この顧問や年一決算のように、なにをどうやっているか明確に示すことで、無料(タダ)で聞かれることは、ぐっと減るはずです。
無料(タダ)で聞きやすくしない
無料(タダ)で聞きやすくしないというのも、やっておきたいことです。
たとえば、電話番号をホームページや広告に大きく載せて、「電話お待ちしています」と書いてあると、その番号に仕事の依頼ではなく、
「ちょっと教えて」
みたいな感じで電話が来ることがあります。
そして、その問いには数分で答えられる場合もあり、電話で答えてしまえば仕事にならないというケースが起こりえます。
回答すると、電話の先からは、「ありがとう、ガチャ」これっきりで終わってしまいます。
これを受けて、無料(タダ)で聞いてくれるなという話も、よく聞きます。
ホームページに「こういう疑問や不安はありませんか?」と電話番号を書いておいて、それで聞くなというのも変な話です。
自ら無料(タダ)で聞きやすくしてしまっています。
これは、営業電話にも言えます。
「かけてくるな」と聞くことは多いです。
私の場合、ホームページからの申し込むフォームでの受付を基本にしていますが、電話番号も載せています。
ただ、出ません。留守電を確認してから、必要があればかけなおすことにしています。
この方法をとっていて分かるのが、こちらに大事な要件がない相手は留守電を残さずに切ってしまうことです。
着信はあるが、なんのメッセージも残されていなければ、その着信には意味はないと判断しています。
おそらく、無料(タダ)で聞こうとする人も、留守電は残さないことでしょう。
電話での対応しかり、無料(タダ)で聞きやすくしないというのも、やっておくべき手です。
無料(タダ)で聞くな。まとめ
無料(タダ)で聞くな問題について、書いてみました。
内容は税理士業界にありがちな話でしたが、他の士業や情報を生業としている仕事について全般的に言えることだと思います。
それなりにやるべき手を打って初めて、文句が言えるものだと思っています。
無料(タダ)で聞かれない土壌を作る。
そうしてみると、実際に聞かれることはほとんどなくなります。